暗号は解読された 般若心経
「般若心経」を知らない日本人を探すのは容易ではない。これほど有名な「般若心経」ではあるが、では同経典の全体像と核心を正しく理解している日本人がどれだけいるのかと言えば、それは極めて少数であろう。それもその筈、般若心経は「暗号」であり、仏教の歴史的背景により故意にその真義を隠す方便が取られて来たからである。
本書においては、暗号解読のポイントは、初期仏教とのギャップを埋めるために、人間と宇宙との関係を表す語句を「暗号」として、革命的展開をしていると見抜くことであり、これらの重要語句の「再定義」を見抜くことが、ポイントであると明かされている。
特に「空」に関係する語句の再定義が鍵である。「般若心経」の編纂チームが敢えて新語句の導入を避け、旧語句を再定義して継続使用した背景には、定説に固執した初期仏教派からの弾圧攻撃をかわすと共に、仏教の一貫性と継続性を重視する真実があったことが臨場感を持って説かれている。
「空」とは「定説」や「曖昧説」が説くような「虚無」や「有るのか無いのかわからないもの」では決してなく、それらの対局にある「高次元の場」であり、そして「超実体」であり、人間は「空」と一体であって、同時に「空相」という環境のプラットフォームを舞台に、生命活動を展開しているのである。
釈迦入滅後約二千五百年が経過した西暦二千十三年、時が到り、旬が満ちて、仏教伝来の西端に位置する大和の国おいて、「空不動」という修行名を持つ著者によって遂に般若心経のベールが切って落とされた。
本著の出版は仏教再生元年を象徴するランドマークとして仏教史に刻まれると共に、独り仏教界のみならず、地球の恒久平和実現に向けた一大転換エポックとして語り継がれ、千年後の人類史に金字塔として刻印されるであろう。人類の進歩と調和を祈念する三世諸仏と全ての人達にとっての慶事、それは仏教創始者 釈迦牟尼世尊の一大計画に沿った経綸なのである。
最新改訂版暗号は解読された 般若心経 著者 / 岩根和郎本体価格 /1,404円(税込)
著者による内容紹介
本書は、「般若心経は暗号である」との立場から、その暗号を現代用語によって読み解いたものである。般若心経の編纂の時代は初期仏教から、空を中心思想とする大乗仏教が興るときに当たり、当時、空について様々な議論が為されたが、結局統一見解は得られず、初期仏教の「実体が無い空」がそのまま大乗仏教に引き継がれてしまい、大乗仏教は大きな矛盾を抱えることになってしまった。
般若心経は、釈迦が直接説いたと言われる程の、釈迦の悟りにも匹敵する編纂者自身の悟りによって体得された「実体が有る空」を大乗仏教に於ける中心思想として位置づけ直し、大乗仏教の中心思想として耐え得る真実の空の姿を暗号化して、後代に残したものである。
当時の状況では直接的には書けなかった内容を、これこそが仏陀の教えであるとして、後代の人に向かって、暗号として纏めて残したものである。暗号であるからには、いずれ解かれることを前提に書かれている。そしてそれが今、ここに解かれたのだと言える。般若心経は暗号であるが故に、決して情緒的には書かれて居らず、数学のように極めて論理的に緻密に書かれており、262文字に無駄な文字は一つも無く、まったく矛盾無く、見事な全体の整合性を保って読み解くことが出来た。
解釈の要となる「空」は実体そのものの「超実体」であり、それが人間の精神性の本質と同一であるとしている。超実体の空は生命活動を営む環境としての空相を用意し、そこは不生不滅として時間空間を超越し、不垢不淨として善悪を超越した絶対価値体系であり、不増不減として変化変容する諸行無常の存在の背後にあって、変化変容を超越した存在である。現象の世界は生と滅の「非実在の世界」であり、不生不滅の「実在の世界」とは明確に分離されている。これにより、完全に整合性のある般若心経の新しい解釈が可能となり、その詳細から、全体像に至るまでを明らかに出来た。そして般若心経はそれ故に、真実の空を説いていない小乗仏教を全否定することになったのである。
さらに、その内容は現代物理学の世界観に見事に整合していて、それをも超えるものであり、さらに諸法空相で示される「宇宙モデル」に関しては現代物理学の研究者に明確なインスピレーションを与えるものである。そして更に般若心経は、これらの世界観を中心として、衆生救済のための明確な道を指し示し、その方法論も説いていて、現代に明確なメッセージを送っている。この262文字は世界一内容の濃い文章である。
2013/12/17 著者記す
改訂版の出版にあたって
旧版では多くの方々からとても熱い反応を頂いて、著者としては喜ばしい限りである。
般若心経編纂時の仏教の混乱状況は、そのまま現状の仏教にも言えることが次第に見えてきたが、旧版では、仏教関係者ではない私が敢えてそこには踏み込まないようにして来た。
しかし読者の様々な質問や反応から、どうしても、そこに触れなければならないと思うようになった。旧版出版から僅か五ヶ月しか経っていないのだが、ここで改訂版を出すことにし、仏教界で問題になっている点なども追加し、特に重要視点として、実践を旨とする「修行の仏教」が如何に重要であるかについて加筆した。これに関しては私自身が、分際を越えていることを認めつつ、敢えて分際を越えざるを得ない状況を選択し、そこに身を置くことにした。この私の選択が、具体的に何であるかについては、読み進むにつれて理解して戴ける筈だ。この加筆部分と、暗号解読の要となる、空を含む語句の再定義の証拠となる部分など、多少込み入った議論は枠付きとして分離した。そしてこの機会に、更に内容を充実する加筆をして再び世に送り出すことにした。
改訂版 暗号は解読された般若心経について
前著より図解頁も増え、より判り易い解説となっている。また本文中にも数式や論理的説明が追加され、厳密な理解や論理に興味ある読者の要求に応える内容となっている。なお重要項目も改訂項目もあるので、前著と共に併読するとより理解が深まるようになっている。
般若心経の編纂の時代は初期仏教から、空を中心思想とする大乗仏教が興るときに当たり、当時、空について様々な議論が為されたが、結局統一見解は得られず、初期仏教の「実体が無い空」がそのまま大乗仏教に引き継がれてしまい、大乗仏教は大きな矛盾を抱え ることになってしまった。般若心経は、釈迦が直接説いたと言われる程の、釈迦の悟りにも匹敵する編纂者自身の悟りによって体得された「実体が有る空」を大 乗仏教に於ける中心思想として位置づけ直し、大乗仏教の中心思想として耐え得る真実の空の姿を暗号化して、後代に残したものである。当時の状況では直接的には書けなかった内容を、これこそが仏陀の教えであるとして、後代の人に向かって、暗号として纏めて残したものである。暗号であるからには、いずれ解かれることを前提に書かれている。そしてそれが今、ここに解かれたのだと言える。般若心経は暗号であるが故に、決して情緒的には書かれて居らず、数学のように極めて論理的に緻密に書かれており、262文字に無 駄な文字は一つも無く、まったく矛盾無く、見事な全体の整合性を保って読み解くことが出来た。
解釈の要となる「空」は実体そのものの「超実体」であり、それが人間の精神性の本質と同一であるとしている。超実体の空は生命活動を営む環境としての空相を用意し、そこは不生不滅として時間空間を超越し、不垢不淨として善悪を超越した絶対価値体系であり、不増不減として変化変容する諸行無常の存在の背後にあって、変化変容を超越した存在である。現象の世界は生と滅の「非実在の世界」であり、不生不滅の「実在の世界」とは明確に分離されている。これにより、完全に整合性の ある般若心経の新しい解釈が可能となり、その詳細から、全体像に至るまでを明らかに出来た。そして般若心経はそれ故に、真実の空 を説いていない小乗仏教を全否定することになったのである。
さらに、その内容は現代物理学の世界観に見事に整合していて、それをも超えるものであり、さらに諸法空相で示される「宇宙モデル」に関しては現代物理学の研究者に明確なインスピレーションを与えるものである。そして更に般若心経は、これらの世界観を中心として、衆生救済のための明確な道を指し示し、その方法論も説いてい て、現代に明確なメッセージを送っている。この262文字は世界一内容の濃い文章である。
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